ソリューション

イノシシ・シカから農地を守りたい!

イノシシとシカは、鳥獣による農作物の食害の本丸です。その対策の中心は、金網柵と電気柵、そして金網柵のなかでも、パネル式のものとロール式のものがあり、それぞれに特徴、長所・短所がありますので、環境(自然環境や人的環境)にあわせて対策を選択します。
イノシシとシカでは、具体的な仕様には差がありますが、重複する部分も多いので、比較しながら見ていきましょう。

対策その1 電気柵
(交付金事業上限単価/m:1段あたり148円+防草シート254円)

イノシシ、シカともに、電気柵は非常に有効な防除ツールです。

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メリット

価格が安い! 施工もカンタン!

効果の高さに対する価格の安さ(コスパ)は最強でしょう。
施工の手間もわずかなものです。
自費で対策するなら、電気柵一択です。

効果が継続しない?? そんなことはありません! 効果が持続しないのは…

「そのうち動物が慣れて入られてしまう」という声がありますが、それは、おそらく不十分な出力の電牧器を使っているか、適切に管理をしていないからでしょう。実際、パワーの無い電牧器は巷にあふれています。漏電管理を完璧にできる人であれば良いのですが、草が付着してもすぐに刈り取らない人は多いのが現実。
ビビットシリーズのようなパワーのある電牧器を使っていれば、多少草が付いても電圧はなかなか落ちないものです。
電気柵が電圧を維持し、正しい柵の張り方を維持していれば、「慣れてしまったから入る」ということはありません。

デメリット

電圧を維持しなければならない(草刈等の漏電管理)
稀に、ですが…

びっくりした動物が突進して畑に侵入することがあります。もっとも稀なケースですし、その場合の多くは慌てて脱出するようです。電気柵の心理的効果はしっかり叩きこまれます。

仕様

イノシシ対策

イノシシ対策では最下段ワイヤーを20㎝以下に設置することが非常に重要です。高さ40㎝程度の2段、もしくはクマ対策同様の60㎝3段張りが標準的です。

標準ポール長さ90㎝
杭間隔MAX4m

イノシシのジャンプ能力はなかなかのものですが、電気柵の高さは思ったほど必要なく、40㎝程度でも大丈夫です。むしろ、下からの侵入を目指すイノシシに対して注意すべきは、高さよりも最下段ワイヤーの高さを20㎝以下にすることが重要です。これは絶対条件といっても良いでしょう。

シカ対策

(左:エゾシカ/右ホンシュウジカ)

心理柵である電気さくでは、跳躍力のあるシカ対策でも高さ1.5m程度で十分。ワイヤー段数は3~5段が一般的です。イノシシも生息する地域では最下段を20㎝としたいため、5段張りが無難でしょう。

標準ポール長さ2m
杭間隔最下段20㎝の時:MAX4m
最下段40㎝の時:10m

シカも、切羽詰まった状況とは言えない畑への侵入では、怪我をする可能性もあるジャンプして柵を飛び越えるという戦略をとることはあまりありませんし、心理柵としての要素が強い電気柵では、ジャンプ能力の限界までの高さを要しません。鹿は2m以上のジャンプをしますが、1.5m前後の高さがあれば十分です。
最下段下からの侵入よりも、数10㎝の高さのワイヤーの間をくぐり抜けようとすることが多いようで、最下段の高さよりも、30-70㎝程度の高さを密にした方が効果的といえます。最低3段、最大でも5段張りまでで十分でしょう。5段あれば図のように、イノシシ・シカ兼用の電気柵とすることが可能です。

対策その2 金網柵
(交付金上限単価は以下の通り)

 シカイノシシ
ロール網2790円1970円
パネル網1950円1290円

イノシシやシカは、サルのように器用に柵を乗り越えることはできませんので、金網という物理的なフェンスも有効です。

※ロール網と、パネル網があります。詳しくはこちらへ

メリット

電気柵の「びっくり突進」のようなことが無いこと、漏電管理の手間がいらないこと等が金網柵の大きなメリットです。また、防錆処理のしっかりしたものを選べば、20年、30年と使えるほどの耐用年数があります。

デメリット

電気柵と比較して資材が重く、施工は大変です。また、資材費もそれなりに掛かります。
パネル網(ワイヤーメッシュ)は、細い支柱でも設置可能ですし、1枚ずつ設置していくことから、一人でも施工が可能ではありますが、小運搬の労力がかなりのものですし、太い杭を使うロール網よりも、構造が貧弱になります。
ロール網はネットに緊張に耐えるしっかりした杭を使う分、施工が大変で、一人での施工は難しいでしょう。その分構造がしっかりした柵になります。

仕様

イノシシは逃げる時には2mの柵を飛び越えた記録がありますが、侵入防止では、1.2mが標準的で、この高さで不満という話は聞きません。
イノシシもこの程度(もっと)のジャンプはしますが、罠から逃げないと命が危ない、という切羽詰まった状況でなければ、「下を潜る」という戦略に徹します。
電気柵同様、「潜る戦略」に対抗しなければなりませんので、網の持ち上げ防止策をとる必要があります。そのために、ロール網は、地なりに数10㎝垂らしてアンカーでしっかり固定、パネル網もアンカーで固定したり、20㎜径程度の鋼管パイプを地際に沿わせて金網と固定する方法等があります。

シカも飛び越えての侵入はあまりありませんが、イノシシに比べてその跳躍能力には警戒する必要があり、2m以上が標準的です。それでも100%とは言えませんが、プラス30-50㎝の設計にすることはコストパフォーマンス的には必要ない場合が多いでしょう。

ロールタイプ

上部に行くほど網目を大きくしてコストを下げられる格子型のフェンスが世界標準の鹿柵です。交点の接続方法で、ソリッドロック、エックスフェンス、ヒンジジョイント(マルチフェンス)等があり、ヒンジジョイントは交点強度がやや劣ります。

金網フェンス(ロール状)

パネルタイプ

線径5㎜が標準的ですが、未来のアグリでは線径4㎜で、φ5㎜のJIS規格と同等以上の強度を製造規格とした「高規格メッシュ」を販売しており、小運搬の両力を軽減しています(重量比はφ5㎜の36%減)。

ワイヤーメッシュ柵(溶接金網・パネル状)