ソリューション

電気柵とは

電気柵は、触れた動物に大きな電気ショックを与える柵です。動物がこのショックを覚え、警戒心から柵に近づかなくなることで、家畜などを柵の外に出さないようにしたり、反対に野生動物などを柵の中に入れないようにしたり(防除)するものです。

一度ショックを浴びた動物は、心理的にその柵を忌避するようになることから、「電気柵は心理柵」とも言われます。
そのため、物理的に動物をコントロールする場合のように堅牢な柵である必要はなく、また、ジャンプする動物に対してもより低い設計で対応できるというメリットがあり、コストパフォーマンスに優れています。

電気柵の仕組み

電気柵は、動物がワイヤー(電牧線・電気柵線)に触れることで回路が成立し、電気ショック(痛み)を与えます。

電牧器と呼ばれる装置は、ワイヤーと地面(アース)の2方向に配線されます。電牧器からは、人間にとっては安全な、かつほとんどの動物に対して持続的な忌避効果をもたらす程度のパルス電流(1-1.5秒程度の間隔の電流)がワイヤーに向かって流れます。これに動物が触れると、電流はワイヤーから動物の体を通って、地面を通じ、アースへと流れます。この時に動物は大きな電気ショックを受けて、電気柵の中に入ろうとする意欲を失うだけでなく、もう柵に触れたくないという持続的な忌避効果(心理的なバリア)を生じさせます。

イラストの右のほうでは植物が電気柵に接触しています。この場合も植物→地面→アースと電気が流れます。草が付けば付くほど柵とアースの間の抵抗が少なくなり電気が流れますが、これが電気柵で言う「漏電」という状態で、漏電量に応じて電圧は低下してしまいます。電気柵が効果を発揮するには最低3000Vは必要とされており、これに余裕をみて4000Vを切らない程度の電圧を保つよう管理が必要になります。

電圧管理が必須とはいえ、電気柵は野生動物や家畜を管理する柵として、コストパフォーマンスに優れた素晴らしいアイテムであることは間違いありません。
「草が付くと電圧が下がって使い物にならない」という声を聴くことがありますが、はっきり申し上げて、それは能力の低い電牧器を使っているからにほかなりません。パワーの強い電牧器では、1台で10㎞以上の柵を張ることができますし、相当量の草が付着しても十分な電圧を維持します。

電気柵の安全性

2015年に電気柵に感電して人が亡くなられたという報道をご記憶の方も多いかと思います。
誤解無きよう、結論を先にいえば、この時「電気柵」として報道されたものは、広く使われている電気柵とは全く異なるものであり、合法的で適切な電気柵でこのような事故が起きることは考えられません。
法律上、電気柵は「電気さく」と記載され、法的に出力制限や使用方法等の要件(後述)をみたしたものでないと使用してはならないことになっています。そこで、この項では以下合法的な電気柵を「電気さく」と記載します。

事故となった電気柵の電圧は440Vだったのに対し、獣害対策、放牧で広く使われる電気柵はマックスで10000V以上にもなります。
しかし、前者は感電した身体の中を電気が流れ続けるのに対し、後者(電気さく)では一般に1秒以上の間隔で、0.01秒以下(多くの場合はそれよりはるかに短い)通電するだけなのです。
電気さくの電圧は高いので、感電すればそれなりの(動物が嫌がるような)衝撃を受けますが、感電して人体に損傷を与えるような量の電気がながれるわけではないのです。
更にいえば、電気が流れ続ける前者では、電気の流れるワイヤーを掴んだ手を離すことができなくなってしまうことがありますが、適切な電気さくでは約1秒ごとに電気が途切れるため、このようなことも生じ得ません。
電気さくの法的な要件とは

電気事業法(昭和
39 年法律第 170 号)に基づく電気設備に関する技術基準を定める省令(平成 9 年通商産業省令第 52 号)第 74 条
「電気さく(屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。)は、施設してはならない。ただし、田畑、牧場、その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設する場合であって、絶縁性がないことを考慮し、感電又は火災のおそれがないように施設するときは、この限りでない。」

上記のように電気柵は原則「施設してはならない」ものなのです。
例外として、「田畑、牧場、その他のこれに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するため」と場所・目的を制限しており、更に「感電または火災のおそれのないように施設する」と、施設方法の適切さを求まます。

更に電気設備基準【電気さくの施設】(省令第 67 条、第 74 条)第192条においては、以下のような内容が規定されています(営業開発部石澤要約)
①危険であるを、人が見やすいよう適当な間隔で表示すること
②適切な電牧器からの電気を通電させること
③30V以上の電源を使う場合には、漏電遮断器を介して電牧器に接続すること
④容易に通電を切れるスイッチが必要
⑤電気さく用電源装置のうち、衝撃電流を繰り返して発生するものは、その装置及びこれに接続する電路において発生する電波又は高周波電流が無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるおそれがある場所には、施設しないこと。

これらの要件を満たしたときのみに、電気柵を施設することができるというわけです。
これらの要件のなかで、「田畑、牧場、その他これに類する場所」の「これに類する場所」が何を指すかは法解釈の世界になりますが、以下の「野獣の侵入又は家畜の脱出を防止する」という目的から逆算して解釈すべきであり、アーバンベアー対策での電気さく利用は認められるものと考えられます。実際に20年も前から国の事業で国立公園内のクマ対策で電気柵が設置されています。

もう一点、②適切な電牧器と軽く書きましたが、ここが安全性の最も重要なところです。
まず、交流電源の電牧器は電気用品安全法の対象ですので、PSEマークがついたものであることが必要です。
次に、獣害対策では圧倒的に多い直流電源の電牧器ですが、「感電により人に危険を及ぼすおそれのないように出力電流が制限される」電牧器でなければなりません。(なおACアダプターを介して交流電源を利用する場合には、PSEマークのついた漏電遮断器の使用が必要です)

では、どのような出力制限がなされていればよいのでしょうか?
その答えは、法的に規定はされていないようですが、国際規格(IEC)には電気柵に関する規格があり(IEC60335-2-76)、またその内容を踏襲したJIS規格も存在します(JIS C 9335-2-76 )。
IEC、JISに準拠した電気柵であれば、安全性について十分な裏付けがあるといえます。

電気柵の資材

電気柵に必要な資材は、以下のとおりです。

  1. 電牧器・電源・アース・配線コード
  2. 支柱・架線具
  3. ワイヤー(電気柵線)
  4. 電圧管理資材

この他、出入口用の資材、ワイヤーの緊張具などは状況に応じて使うことになります。
当社で取り扱う電気柵資材は製品ページでご案内しています。

電気柵資材

電気柵に関するよくある質問と回答は、こちらのページでご紹介しています。

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