ソリューション

獣害対策

人と野生動物の軋轢を減らしたい

近年、人の居住する地域にクマが侵入したというニュースは、札幌や盛岡をはじめ各地から聞こえてくるようになり、アーバンベア等と呼ばれていますが、クマを侵入させないだけではなく、万一クマが侵入してしまったときに、いかに人的被害を防ぐかが重要です。
そのためには、侵入を素早く感知することが重要と考え、クマの侵入を感知するシステムを近日リリースの予定です。

①クマの侵入防止の精度を高めたい!→電気柵強化バージョン

人的な被害が予想され、田畑を守る場合よりも、一層確実にクマの行動をコントロールすべき場面があります。例えばキャンプ場や宅地と森林の境界ライン等でクマが一般市民の生活圏に侵入する危険がある場合です。

その場合は、農作物を守る電気柵とは少し違った資材を使うことになります。なぜならば、農作物を守る場合に電気柵はポリワイヤーを使うのが一般的ですので、物理的にクマの侵入を妨げる機能は皆無に等しく、稀にですが、電気ショックでびっくりしたクマが突進して農地に侵入してしまう可能性がそれなりにあるからです。心理柵たる電気柵の弱点です。
「ビックリ突進」の頻度はさほど高くないので、農作物を守るための柵としては、コストや手軽さをというメリットもあり、十分な利用価値があるのですが、人命にかかわる場面では、びっくり突進もできる限り阻止しなければならない、という訳です。

ビックリ突進のイメージ

ポリワイヤーの柵は、大型動物が突進すればワイヤー支柱を倒したり、ワイヤーが切れたりすることもありますし、そうでなくても強引に柵を越えて侵入してしまうことが「稀に」あります。

電気柵のみ(高張力鋼線を使った強化型)

「ビックリ突進」させないための最初の方法は、電気柵の資材にもある程度の物理柵的機能を持たせることです。
具体的には、高張力鋼線を強く緊張した状態で使用する、というやり方です。
これを実現するためには、ワイヤー以外にも、ポリワイヤー電気柵とは違った資材が必要になってきます。

電気柵線φ2.5㎜程度の高張力線を使います。ポリワイヤーと比べて扱い難く、施工性が悪くなりますが、動物の突進を受け止める丈夫さがあります。
緊張器ポリワイヤーでも簡易な緊張器を使うことがありますが、必須ではありませんし、わざと少し緩めに張る場合もありますが、「強化型」では必須の資材です。丈夫なワイヤーをがっつり緊張させることで、突進に備えるのです。
支柱端末やコーナーの支柱には、ワイヤーを緊張することで強い力が掛かりますので、10-40㎜程度の電気柵用支柱では勤まりません。Φ15㎝程度の木柱を使うのが一般的です。
碍子ワイヤーの端末に使う碍子も、緊張に耐えうる丈夫な碍子を使う必要があります。緊張器と一体化したものもあります。
高張力鋼線を使った強化型のイメージ

ワイヤーは若干の伸び率もあり、たわみながら突進を受け止めます。
もともと電撃を受けて気持ちは退散したいところでしょうし、動物の侵入を阻止している間に、次の電撃もありますので、侵入を諦め、電気柵の心理効果がすっかり刷り込まれます。

金網+電気柵

金網と電気柵の併用は、ビックリ突進を物理柵たる金網で正面から対抗し、クマ等の容易に金網を登る動物を電気柵で撃退する、というものです。

金網+電気柵は非常に有効な手段ですが、金網地際からの侵入を防ぐ手立ても必要になります。
電気柵を地際近くに設置する方法もありますが、その場合は防草シートが必須でしょう。

②クマの侵入をいち早く感知したい!

強化型電気柵のうち「金網+電気柵」のタイプは、電気柵のみに比べて、漏電の可能性が大幅に減ります。しかし、電気柵を金網胴縁上に設置した場合には、万一クマが途中の電気柵をものともせず柵を乗り越えようとすれば、確実に胴縁とワイヤーが接触し、大幅な漏電を引き起こすことになります。この特性を利用して、大幅な漏電をしたときにEメールで通知がなされるシステムを構築すれば、クマの侵入を早い段階で知ることができます。(仮称:クマ感知システム)

電気柵の電圧は、通常、1台の電牧器から繋がる範囲ではほぼ一定です。(イメージ図参照)上記のような感知システムを構築した場合に、漏電したことがわかっても、その範囲が広ければ広いほど、実用的ではなくなってしまいます。

電気柵は「一般的には」電圧は概ねどこで測っても似たような数値

漏電の無い状態

部分的に大きな漏電をした場合

未来のアグリのクマ感知システムの場合

未来のアグリの「クマ感知システム」の場合、電牧器は1台でも、任意の指定した区間毎に固有の電圧とすることができます。
このシステムを採用した場合には、クマが侵入した箇所を狭い範囲で特定することができ、速やかに周辺住民への通知ほか、各種対応策をとることが可能になります。 (倒木等による誤作動は生じ得ますが、その場合復旧する必要もあるので、誤作動による通知メールも無意味ではありません)ヘアトラップを金網の両面に併設することで、「入ったのか?それとも出たのか?」も確認できると思われます。

クマが侵入した区間Cのみ電圧が大きく下がり、これを感知してEメールが発信されます。
区間の区切り方は任意の位置で、区間が短いほど侵入地点を特定しやすくなりますが、通信システムの数も増えます。
区間が広ければ侵入場所の特定に時間を要しますので、バランスを考えた区間設定が必要です。